【徹底解説】集中集塵システムとは? 仕組み・メリット・導入前のポイント
集中集塵システム(セントラルバキューム)は、建物内に配管網を設け、複数箇所の粉じん・切粉を1台の集塵機でまとめて回収する方式です。仕組みや個別集塵との違い、長距離配管で吸引力を保つ条件、導入前の確認事項をわかりやすく解説します。
掃除機を「運ぶ」作業から解放される
工場や作業場の清掃で、こんな場面はないでしょうか。
- 集塵機を台車に載せ、階をまたいで運んでいる
- 掃除したい場所の近くに電源がなく、延長コードを引き回している
- ホースを伸ばすほど吸い込みが弱くなり、結局本体を近くまで移動させている
- 回収した粉じんを、あちこちの集塵機から個別に取り出している
こうした「集塵機を移動させる手間」そのものをなくすのが、集中集塵システムです。
集中清掃システム(セントラルバキューム)とは

建物内にあらかじめ配管ネットワークを設け、複数箇所で発生する粉じん・切粉を、1台の集塵機でまとめて吸引・回収する集中型の集塵方式です。「セントラルバキューム」「セントラルクリーニング」「集中清掃システム」とも呼ばれます。
作業者は、各所に設けられたインレット(ホース取付口)にホースを差し込むだけ。集塵機本体を持ち運ぶ必要がありません。
システムの基本構成
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
| 集塵機本体 | 吸引の動力源。粉じんを捕集する |
| プレセパレータ | 大きな異物や重い粉じんを、集塵機の手前で先に落とす |
| ダクト配管 | 建物内を走る吸引経路。階層や工場レイアウトに合わせて分岐 |
| インレット(ホース取付口) | 各所に設ける吸込口。ここにホースを接続する |
| ホース・アタッチメント | 作業対象に合わせて先端を付け替える |
| 排出装置 | 回収した粉じんを容器へ排出する |
個別集塵と何が違うのか

| 個別集塵(各所に集塵機を設置) | 集中集塵 | |
|---|---|---|
| 集塵機器台数 | 発塵ポイントの数だけ必要 | 原則1台 |
| 設置スペース | 各所に本体スペースが必要 | 集塵機は1か所に集約 |
| 移動の手間 | 使う場所まで運ぶ必要がある | ホースを差すだけ |
| 粉じんの取り出し | 各機から個別に | 1か所にまとめて |
| メンテナンス | 台数分だけ発生 | 集約されて管理しやすい |
| 初期費用 | 配管工事が不要な分、抑えやすい | 配管を含めた設計が必要 |
| 導入の考え方 | まず1台から始めやすい | 建物・レイアウトを見て計画的に |
初期の設計と工事が必要な分、集中集塵は「入れて終わり」ではなく計画が要ります。一方で、日々の作業時間・機器管理・スペースといった、導入後に積み上がっていくコストの側で差が出てきます。清掃頻度が高い現場、発塵ポイントが多い現場ほど、その差は大きくなります。
集中集塵の5つのメリット
1. 清掃・回収作業の効率が大きく向上する
集塵機本体を運ぶ必要がなくなります。特に複数階にまたがる建物では、階段やエレベーターでの機器の上げ下ろしがなくなるだけで、清掃にかかる時間が変わります。
2. 粉じんの飛散を防げる
回収した粉じんは配管を通って一か所に集められ、作業エリアに戻りません。作業環境の改善につながり、周囲の設備・製品への粉じん付着も抑えられます。
3. 高所・足場の悪い場所でも安全に作業できる
重い集塵機を持って移動する場面が減るため、転倒や落下のリスクを下げられます。安全性の向上は、集中集塵を導入する動機として少なくありません。
4. 長距離でも吸引力が落ちない(高静圧設計の場合)
配管が長くなるほど圧力損失が生じ、末端の吸引力は落ちます。ここを支えるのが静圧です。
DustLaboの集中清掃システムは高静圧設計を採用しており、最大-40kPaの吸引力で、配管距離の目安として最大50m程度まで安定した吸引を維持します。石や、水分を含んだ砂利のように比重の大きい対象も吸い込めます。
5. 排出方法を現場に合わせて選べる
回収した粉じんの排出は、現場の運用に合わせて選択できます。
- ペール缶 / ドラム缶 / 土のう / フレコンバック
- 二段ダンパシステム … 装置を停止させずに集塵物を排出できる
- ロータリーバルブシステム … 連続排出に対応
「排出のたびにラインを止めたくない」といった条件がある場合は、この部分の設計が重要になります。

上記のようなカスタマイズもできます。
こんな現場に向いています
- 発塵ポイントが複数ある工場 ― 加工機ごと、ライン沿いなど、掃除したい場所が点在している
- 複数階にわたる建物 ― フロアをまたいで清掃機器を移動させている
- 清掃頻度が高い現場 ― 毎日・毎シフトで床や設備まわりの清掃が必要
- 食品・薬品工場 ― 粉じんの飛散を抑え、清浄度を保ちたい
- 土木・建築、資源循環処理の現場 ― 堆積した粉じんや、水分を含んだ回収物を扱う
- 床・階段・隅 ― 通常の設備集塵では届かない、堆積しやすい箇所
大規模な現場には「FCUユニット式集塵装置」

建物全体を対象にするような大規模な集中集塵では、集塵機側にも風量と連続稼働が求められます。DustLaboでは、集中清掃システムと組み合わせるFCUユニット式集塵装置をご用意しています。
稼働を止めない、2分割フィルター室
フィルター室を2分割したユニット構造を採用しています。片側を脱塵・排出している間も、もう片側で集塵を継続できるため、稼働を止めずに連続運転が可能です。大風量を安定して運転できます。
自動払い落とし&排出で、保守作業を削減
分割フィルター室のダンパーとエアパルスを組み合わせ、粉じんの払い落としと排出を自動で行います。
- 各列フィルターのエアーの流れを停止する
- 個々のフィルターを集中脱塵する(エアパルス等)
- 2段ダンパーから随時自動排出する
この流れを徹底して繰り返すことで、逆戻りによる目詰まりを大幅に低減。粉じん濃度の高い環境でもフィルター性能を長期間維持し、安定した吸引力を保ちます。
型式ラインナップ
| タイプ | フィルタ面積(m²) | ユニットサイズ(mm) |
|---|---|---|
| FCU-556 | 18.6 | W1200×D900×H1200 |
| FCU-558 | 24.8 | W1200×D1130×H1200 |
| FCU-656 | 22.4 | W1200×D900×H1200 |
| FCU-658 | 29.8 | W1200×D1130×H1200 |
参考例:FCU-556(×2台) 風量 70m³/min(Max)/静圧 -5.0kPa(Max)/フィルター Φ150×550mm 24本/外寸 W5.7×D2.0×H3.7m
必要な風量・粉じん量に応じて、フィルターユニットを柔軟に選択・増設できる構成です。
導入前に確認しておきたい6つのポイント

集中集塵は、現場ごとに設計が変わります。ご相談の際は、次の点を整理しておくとスムーズです。
- 何を吸うのか ― 粉じんの種類、粒径、比重、水分の有無、粘着性、爆発性の有無
- どこで吸うのか ― 発塵ポイントの数と位置、階層、建物のレイアウト
- 何か所を同時に使うのか ― 同時使用数によって必要な風量が変わります
- どこまで配管を延ばすのか ― 距離と分岐の数が、必要な静圧を左右します
- どれだけ溜まるのか ― 1日あたりの回収量から、排出方式と頻度を決めます
- 集塵機をどこに置くのか ― 屋内・屋外、電源、搬入経路、排気の扱い
よくあるご質問(FQ&A)
Q. 既存の建物にも後から導入できますか? A. 可能です。配管ルートは、お客様の工場のレイアウトに合わせて分岐を設計します。まずは現場の状況をお聞かせください。
Q. 何か所まで同時に使えますか? A. 集塵機の能力と配管設計によります。同時使用の想定箇所数をお伺いしたうえで、必要な風量・静圧から機種を選定します。
Q. 水分を含んだものも吸えますか? A. 水や水分を含んだ砂利などの回収実績があります。対象物の性質によって構成が変わるため、事前にご相談ください。
Q. 小規模から始めることはできますか? A. できます。まずは可搬型の高圧集塵機(CRKPタイプなど)でご使用いただき、後から配管に接続する構成もご検討いただけます。
現場に合わせて設計します
集中集塵は、既製品を置いて完成するものではありません。DustLaboでは、お客様の作業内容・設置環境・粉じん特性に応じたカスタマイズ設計でご提案しています。
「うちの現場でも成り立つのか」という段階からで構いません。まずはご相談ください。
